「日本にもコメを売りたい」

こうした企業家的機転は、その後も働きました。

ある自然食会社の日本のポンセンベイに人気があるのをみて、早速日本から自動製造機を入れて売り出したし、その会社への無農薬米出荷を突然やめ、自社商標にしてしまったこともあるそうです。

無論、相手は腹を立てたが、生き馬の目を抜く競争社会では当たり前のこと。

彼の農場の10アール当たりモミ米収穫量は約790キロ。

アメリカではこれが平均ですが、日本の580キロを大きく上回っています。

農家売り渡しのモミ価格は100ポンド(45.3キロ)当たり7ドル(約1690円)。

日本の約4分の1です。

「日本にもコメを売りたいが、日本への輸出は、日本の農民団体を刺激して、日米間の政治問題になるというじゃないか」

問題が微妙なことは、心得ています。

しかし・・・。

「これなら日本で売れないか」と、彼がわたしにアメリカ原産の真っ黒いワイルドライスを握らせました。

一見、コメではありません。

いかにも、自然食といったかんじ。

「これなら日本の市場を荒らすことはないだろう。東京へ帰ったら調べてくれないか」

この抜け目なさが、企業としての農業を支えているのでしょう。

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