ちょい昔のこと その7

91年12月からチェーン展開を始めた海鮮丼専門店の「ザ・どん」は、蒸しうにいくら丼、ねぎとろ丼、ごまだれ鉄火丼など18種類の海鮮丼を提供していました。

イクラとウニの下に黄色の錦糸卵を敷き詰めるなど見た目も意識。

ファッション性を重視し、味だけでなく、素材の色合いなどにも工夫を凝らしていました。

「魚介類のヘルシー感覚と平均で850円という値ごろ感」がうけ、大阪・江坂にある1号店の売り上げは当初予想の2倍という盛況ぶりでした。

店舗数も9月には6店にまで増やしたそうです。

すかいらーく、デニーズなどのファミリーレストランも、次々に海鮮丼をメニューに導入してきました。

70年代初頭に登場したファミリーレストランに真っ先に飛び付いた団塊の世代も、中年期を迎えるとともに"ハンバーグに拒否反応"を示すようになり、和食への傾斜を急速に強めていました。

こうした傾向を察知したファミリーレストランが、誘客の目玉として打ち出し始めたわけです。

ちょい昔のこと その6

健康志向をベースにした和食回帰、長引く景気後退で高まる価格志向。

この2つのトレンドが重なり合うところにピタリと位置していました。

もちろん何年も前から丼ものは根強い人気があります。

ただ、海鮮丼は「がつがつとかきこむ野蛮性」が消え、「女性がおしゃれに楽しめるファッション性」が付け加わりました。

その意味で新しいタイプの丼ものといえたのです。

ちょい昔のこと その5

1980年代後半の2~3年、食の分野で話題をさらったのは、イタリア料理とタイ料理だったそうです。

素材の持ち味を生かした調理法が、老若男女を問わず支持されていました。どちらもおいしいですよね。

もっとも、背景を探れば、バブル経済が生んだ"にわかグルメたち"に支えられたブームという側面がかなりあったようです。石塚孝一氏によると、当時、何をするにも財布と相談する機会がめっきり増えた、「イタメシ」も「タイスキ」も急速に輝きを失っていきました。

代わって脚光を浴びたのが丼ものでした。

とりわけ、海の幸をふんだんに使った海鮮丼の人気がじわじわと上昇しました。

ちょい昔のこと その4

衣料品の販売不振が続くと、アパレルメーカーは手堅く売れる商品に走る傾向にあります。

しかし、単なるべーシックアイテムというだけでは消費者の需要を喚起するのは実際難しいことです。

「フツウ」、だけどちょっと違うというのが93年ファッションのキーワードだろうと思われました。

その違いを生み出すうえでもっとも重要な素材への関心が消費者の間でこれまで以上に高まるだろうと・・・。

自然志向の高まりはスタイルにも影響を与え、ぴったりとフィットしたものよりも、自然で柔らかく身体を包み込むようなソフトコンシャス、アンコン(アンコンストラクテツドー芯のないジャケットなど)の比重が高まっていく、こうしたスタイルに欠かせないドレープ感(自然なたるみ)などの風合いが出せ、手入れが簡単な新素材がすでに開発され始めていました。

そして、素材でファッションを選ぶ消費者も実際増えました。

更に当時の予測通り、ファッション界ではフレンチ・カジュアルが定着しました。

自然で、シンプルでオシャレ。

93年は、オシャレに磨きがかかった年でもあったようです。

ちょい昔のこと その3

★「フツウの服」が人気の時代

93年のスタイルとしてはサイケデリックやアバンギャルドといった世紀末風の奇をてらったものは影を潜め、「フツウの服」が人気を呼ぶだろうと言われていました。

「フツウの服」といっても旧来のトラッド調ではなく、現代風の味つけをしているのが特徴。

日本を代表するデザイナーである山本耀司氏はダーバンとの提携により92年秋冬物からメンズのビジネススーツの展開を始めた年でした。

スーツという日常的な衣料に先鋭的なデザイナーの感覚を取り込もうという試みだったそうです。

こうした動きはますます広がっていくだろうと予測されました。

ちょい昔のこと その2

ファッションのことの続きです。


暗く沈んだトーンではなく、コーラル(さんご)ピンク、ピスタチオ(ナッツの一種)グリーンなどエコロジーカラーをべースに明るくソフトな雰囲気をかもし出す色調が主流となるだろうといわれていました。

景気低迷をきっかけに、大量消費社会を反省し、簡素で自然にやさしいライフスタイルを追求する動きが広がるものとみられました。

消費者の自然志向は一段と強まるだろうと・・・。

従ってエコロジーカラーは依然高い支持を受けるます。

プリント柄でも花や木、動物、水などをモチーフにしたもの、幾何学模様ではなく手描きパターンなどが好まれそうだという事でした。

色の組み合わせでは強烈なコントラストではなく、同系色で濃淡の違いを楽しむシックな装いが注目される。

コーディネートのポイントとして基本色である黒、白も見直されるだろうと。


この過去の予測、あながち間違っていないんです。

ちょい昔のこと その1

市場にモノが溢れ商品選択の幅が広がる一方で、消費者のし好はますます多様化しています。

ファッションの世界でも他の消費財と同様にかつてのような大ヒット商品が生まれにくい状況でした。

ましてやバルセロナ五輪が開催された92年と異なり、93年はトレンドを創り出すようなビッグイベントも予定されていませんでした。

世界的な景気低迷もあり93年は華やかさに欠ける年となりそうだと言われていました。

こうした先行きの見通しがつきにくい時代の気分を映し、色調ではグレイッシュ(灰色がかった)なパステルカラーが脚光を浴びそう・・・と言われていたそうです。

IBM、GMも門をたたく その2

ある日、記者はGM幹部のクラスに同席したそうです。

非公開の勉強会でしたが、特別許可がおりたからです。

出席者は各地のGM工場の責任者や中堅幹部たち20人。

「5年戦略」がつねに念頭にあるのでしょう、学ぶ態度は真剣そのものだったそうです。

記者は勉強するGM幹部と接して、アメリカ車が品質の点で日本車に追いつく時代は遠くないだろう、と思ったそうです。

記者はフロリダを離れました。

ところが、数日後、GM本社から「あのクラスの内容は記事にしないでほしい」との要請が追っかけてきたそうです。

アメリカは当時まだ、日本をかなり意識していたのです。

GM.jpg

IBM、GMも門をたたく

彼のあとを追って、本館2階のある教室に記者は入りました。

中西部では大手の輸送会社(従業員11000人)の副社長ら重役5人が、顔をしかめながらカウンセラーの話に耳を傾けていました。

机には、分厚い教材の山。

アメリカ人は、功成り名を遂げても、必要なときはいつでも必死に勉強するのです。

「せっかくの機会だから」と、彼が部下のカウンセラーの講義を中断して短いレクチャーを始めました。

「IBM成功物語」に話が及ぶと、会場のムードがぐっと盛り上がります。

IBMは1980年、PCAカレッジの"一期生"としてエグゼクティブたちを相次いでウィンターパークに送り込みました。

その結果、QCの考え方を根本的に変えたのです。

以来、品質向上による増収は、20億ドルにも達するといわれています。

それを見習えとばかり、GMはその年からむこう5年間で「品質を世界一にする」との戦略のもとに、PCAと長期契約を結び、幹部たちの特訓をはじめました。

それから、PCAはどのビルも、GMのエリートたちであふれんばかりににぎわったそうです。

重役ら集めて特訓

彼は海兵隊出身らしく、あごをしゃくりながら、大声で機関銃のようにまくしたてます。

その英語には、品こそないですが、パワーを感じられます。

「その点、日本の会社には、立派なQCサークルがある」とも言いました。

しかし、欠陥品をゼロにするという、いわゆる「ゼロ・ディフェクト」=ZD理論を、彼が22年も前に打ち出した当時、これを最初に導入したのは日本のNECだったといいます。

「欠陥品は出て当然」と考えられていた時代がありました。

たとえば集積回路(IC)メーカーの場合、つい10年ほど前まで、100万個つくると、そのうち1~2万個が欠陥品になってもさして問題にされませんでした。

それが最近では、1~2千個以内になり、メーカーによっては、100個以内に近づいてきています。

それをさらに"ゼロに近い状態"にすべきというのですから、彼の主張は厳しいものです。

「クオリティーはマネジメントにあり」との信念でつくられたのが、幹部社員、重役のためのエグゼクティブ・カレッジ・プログラムです。

これは、1日びっしり8時間、まる2日間におよぶ集中講義とビデオ教育からなり、参加費はホテル代別で1人1650ドルとかなり値がはります。

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